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ストーリー ポイント 101: 始めるためのガイド


Black playing cards with intricate white designs scattered randomly. No visible text. Cards feature symmetrical patterns and figures.

前回の記事では、アジャイルの作業見積もりにおけるストーリーポイントの魅力について説明しました。


一見すると直感的に理解できるこの方法ですが、導入にはいくつかの準備が必要です。今回は、ストーリーポイントの見積もり方法をチームに導入するプロセスについて詳しく解説します。他の見積もり方法から移行する場合でも、新たに始める場合でも、このガイドがスムーズな導入を支援します。



ステップ1: チームに見積もりのメリットを伝える


見積もりプロセスを始める前に、その重要性をチームに説明することが欠かせません。中には「見積もりが厳しい締め切りを生むのではないか」や「作業量が増えるのではないか」と懸念を抱くメンバーもいるかもしれません。そのため、アジャイルでは見積もりの主な目的が厳密なスケジュールやガントチャートを構築することではない点を明確にする必要があります。


代わりに、作業について有意義な会話を促進し、全体の範囲を共有することが目標です。一度ストーリーポイントの使い方に慣れれば、見積もりプロセスはスムーズに進み、作業項目ごとに1分もかからないようになります。このように利点を説明することで懸念を払拭し、成功への土台を築けます。



ステップ2: ストーリーポイントの基本を理解する


ストーリーポイントの導入を成功させる鍵は、その基本原則をチームがしっかり理解することです。以下の点を明確に説明しましょう:


  1. ストーリーポイントは、時間、複雑さ、不確実性を考慮する。

  2. 実際の単位ではなく、時間に換算するものではない。

  3. フィボナッチ数列(1, 2, 3, 5, 8, 13, 20, 40, 100)を使い、大きな数値間の距離を意図的に広げている。


これらの原則を説明するために、「フルーツサラダ」の例えを使うのが効果的です。果物をタスクに見立て、それぞれの作業(洗う、皮をむく、細かく切る、星型にするなど)や不確実性(いちごの大きさが不明で、半分に切るか小さく刻むか分からないなど)を考慮して比較します。このようにストーリーポイントは、単純な時間見積もりよりも柔軟かつ実用的な方法で作業量を評価するツールを提供します。



ステップ3: 基準を設定する


いよいよ実践です!チームを集め、ストーリーポイントのスケール上で「5」に該当する作業項目を基準として選びましょう。この作業項目は以下の条件を満たす必要があります:


  1. チーム全員が作業範囲を理解していること。(完了済みのタスクを選ぶと、範囲が確実に理解されているのでおすすめです)

  2. 大きすぎず、小さすぎないこと。 チーム内の平均的なタスクサイズを表すものを選びましょう。

  3. 理想的には1週間以内に完了できるタスクであること。 もし平均的な作業が1週間以上かかる場合は、タスクをさらに小さく分割することを検討してください。


このステップはあまり深く考えすぎないことがポイントです。正解や不正解はありません。一度基準が決まれば、ストーリーポイントを活用した見積もりを始める準備が整います。



ステップ4: 見積もりプロセスを進める


基準が決まったら、実際の見積もりプロセスに進みます。まず、バックログの中から最も関連性の高い作業項目を選びましょう。選択に悩む必要はありません。緊急性の高い作業に集中してください。


次に、コンテキストを明確にします。プロダクトオーナーや作業を提案した人が追加の詳細を提供し、チームメンバーは自由に質問できるようにしましょう。この段階で、作業項目(JiraチケットやTrelloカードなど)の詳細が不足していることに気づくかもしれません。もし不明点が多い場合は、次の振り返りで改善を議論するのが良いでしょう。


見積もりを行う際は、同時に投票するようにします。対面のチームならプランニングポーカーカードを使用できますし、リモートチームならTeam O’ClockやPlanningPokerOnline.comなどのツールを利用できます。


投票中は新しい作業項目を基準と比較します。少し大きければ「8」、かなり大きければ「13」というように判断します。


投票結果を確認し、数値が一致している場合(初期段階ではまれですが)、その値を割り当てて次の作業項目に進みます。意見が分かれた場合は、最も高い数値と最も低い数値を選んだメンバーが理由を説明します。簡単な議論の後、再度投票を行い、次に進みます。このプロセスは、作業範囲に関する意見の相違を発見し、整合性を高める機会にもなります。



ステップ5: 継続的に練習する


最初の見積もりセッションは少しぎこちなく、時間がかかるかもしれません。議論が長引いたり、混乱が生じることもありますが、心配する必要はありません。


初期の苦労は、作業範囲の定義方法に問題があることを示すサインである場合が多いです。このタイミングで、ユーザーストーリーや受け入れ基準、「Ready/Doneの定義」などのツールを導入するのも良いでしょう。ただし、新しい概念を一度に多く導入するとチームが圧倒される可能性があるので注意が必要です。


2回目の見積もりセッションでは、1週間分またはスプリント1回分の作業を見積もることを目標にしましょう。これにより、チームのベロシティを追跡し始めることができます。


徐々に見積もりはチームプロセスの一環となり、数分で完了するようになります。成功の鍵は一貫性です。練習を続け、ストーリーポイント見積もりのメリットを享受してください。



ストーリーポイント見積もりの重要なルール


ストーリーポイント見積もりを効果的に活用し、アジャイルの精神を維持するためには、いくつかの重要なルールに従うことが欠かせません。



ルール1: チーム間のベロシティを比較しない


基準をやや任意に設定したことを思い出してください。各チームの基準はまったく異なるため、週に300ストーリーポイントを完了するチームが、20ポイントのチームより優れているわけではありません。



ルール2: 個人ではなくチームで見積もる


見積もりは常にチーム全体で行うべきです。その目的は、有意義な会話を促進し、サイロを解消することです。たとえチーム内に1人しかいない役割(例: デザイナー)があっても、その人だけで見積もりを行うのではなく、他のメンバーを巻き込むことで全員が作業範囲を共有し、他のメンバーの仕事を理解することができます。



ルール3: 投票は全員で同時に行い、事前に見積もりを口に出さない


目標は偏りのない意見を共有し、議論することです。例えば、インターンが13だと考えている場合、経験豊富なメンバーがすでに「8だ」と発言していると、それに異議を唱えるのは難しくなります。



ルール4: 投票結果を平均しない、スケールに忠実である


投票が8と13に分かれた場合、10や11にするのではなく、スケールに従ってください。このスケールは、大きな作業項目について正確な見積もりが難しいという合意に基づいています。迷った場合は、大きな数字を選ぶのが無難です。



ルール5: 小さな項目に時間をかけすぎない


タスクが1、2、3のどれに該当するかで議論するのは時間の無駄です。より大きな数字を割り当てて次に進みましょう。一部のプランニングポーカーデッキには「1/2」のカードがありますが、これを捨てることをお勧めします。「1/2か1か」を議論する価値はほとんどありません。



ルール6: 基準に「1」を使用しない


「5」を基準とする理由は、上にも下にもスケールを広げやすく、相対的な見積もりの概念を理解しやすくするためです。もし「1」を基準にすると、それが測定単位として扱われる可能性があり、望ましくありません。代わりに、新しい項目が前の項目より小さいか大きいかを比較し、適切なバケットに入れます。



ルール7: 「個人のベロシティ」を測定しない


チームのメンバーには、それぞれ異なる経験やスキルレベルがあります。シニアメンバーはコーチングやメンタリングに時間を費やすことも多いため、個人のベロシティを測定しても正確な作業量を反映することはできません。また、チーム内で緊張を引き起こす可能性もあります。



ルール8: ベロシティの「改善」を目指さない


チームはすでに懸命に働いており、かなりの量の作業を完了しています。それをさらに増やすことを目標にするのは生産的ではありません。その代わりに、顧客価値をよりよく理解し、優先順位を適切に設定し、無駄を減らし、より良い成果を生み出すことを目指すべきです。ベロシティを上げようとすると、スケールを変えるだけで、実際には進捗していないのに見かけ上の進歩があるように見えるだけです。



ルール9: 見積もりを後で変更しても良いが、深く考えすぎない


「3」と見積もった項目が実は「13」だったと気づいた場合、その見積もりを変更しても問題ありません。ただし、見積もりを何度も再評価するのは時間の無駄です。範囲が明確であれば、見積もりはその役割を果たしたと言えます。



ルール10: 見積もりをチームの「約束」として扱わない


例えば、チームのベロシティが週50ストーリーポイントで、大規模プロジェクトの見積もりが200ストーリーポイントだった場合、自動的に4週間で完了すると期待してはいけません。見積もりは必ずしも正確ではなく、割り込みや緊急の作業項目が発生することがよくあります。もし特定の納期にチームがコミットする必要がある場合(本当に必要か慎重に考えてください。締め切りは問題を引き起こす可能性があります)、その点を話し合い、チームから明確なコミットメントを得る必要があります。



まとめ


このガイドがストーリーポイント見積もりを導入する際に役立つヒントやツールを提供できたことを願っています。この手法はチームにとって非常に価値のある資産となり、透明性の向上、コミュニケーションの促進、隠れた問題の発見などに寄与します。ぜひ試してみてください。アジャイルな作業見積もりをより効率的かつ効果的にするための旅路が素晴らしいものとなることを願っています!

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