top of page

アジャイル優先順位付けの習得: 上位 4 つのテクニックを学びましょう!


People collaborating on design layouts at a table, arranging papers with orange accents. Casual setting, focus on hands and materials.

アジャイルチームにおいて、優先順位付けはプロダクトオーナーやアジャイルリーダーだけでなく、すべてのメンバーにとって重要なスキルです。その重要性がよく語られますが、実際にその技術を深く理解し、効果的に適用することはまた別の話です。


この記事では、アジャイルチームが優先順位付けのスキルを磨くために使っている4つの実績ある手法を紹介します。それぞれが独自のアプローチを持ちながらも、最終的には顧客価値の提供を目的としています。


ユーザーストーリーで明確かつ客観的に価値を定義することは、優先順位付けの成功の鍵です。絶対的な精度で価値を数値化するのは難しいかもしれませんが、自分たちの状況に合わせて最大限の明確さを追求することが求められます。それでは、この4つの優先順位付けの手法について詳しく見ていきましょう!



  1. 価値/努力マトリックス:シンプルかつ効果的なツール


価値/努力マトリックスはシンプルながら強力な手法です。まず、各ストーリーに必要な努力量を見積もることから始めます。ここでは詳細な精度は必要なく、「低い」「高い」といったざっくりとした分類で十分です。ただし、ストーリーポイントによる見積もりを用いると、より深い洞察が得られます(詳細は「ストーリーポイント101」の記事をご覧ください)。


次に、縦軸に「価値」、横軸に「努力量」を設定したグラフを描き、各ストーリーをプロットします。その後、このグラフを4つの象限に分け、それぞれの象限に該当するストーリーを以下のように扱います:


  • 左上(高価値・低努力):最優先で取り組むべき「低い木の果実」です。最小限の努力で大きな価値を生むため、まずここから着手します。

  • 右上(高価値・高努力):多大な投資を要するため、詳細な評価が必要です。他の手法を使って価値を慎重に評価するのが良いでしょう。

  • 左下(低価値・低努力):これらは「隙間時間に行うタスク」です。緊急性は低いですが、バックログに入れておくと有用です。

  • 右下(低価値・高努力):可能であればバックログから削除すべきです。必要不可欠でない限り、労力に見合う価値が得られません。


この手法を活用することで、タスクをより客観的に評価し、価値提供と努力量のバランスを取った優先順位付けが可能になります。



  1. 実行可能性/魅力度/実現可能性:価値の意味を拡張する


価値/努力マトリックスをさらに発展させた手法として、実行可能性(Viability)/魅力度(Desirability)/実現可能性(Feasibility) フレームワークがあります。この手法は「価値」という概念をより深く掘り下げ、顧客の期待とビジネスニーズのバランスを取る方法を提供します。


例えば、お客様に100ドル札を配れば(高い魅力度)喜ばれるでしょうが、これはビジネスとして実行可能ではありません。一方で、不透明な料金体系で一時的に収益を上げる(高い実行可能性)こともできますが、顧客満足度は下がるでしょう。理想は、これらのバランスを取りながら、実現可能な方法を見つけることです。


実践方法としては、縦軸に「実行可能性」、横軸に「魅力度」を設定し、各ストーリーをプロットします。この際、実現可能性のスコア(ストーリーポイントやS/M/L/XLといった見積もり方法を使用)にも注目します。特に、魅力度と実行可能性が高く、実現可能性のスコアが低いアイテムを優先して取り組みます。他のストーリーは、より価値の高い作業が完了するのを待つ形となります。



  1. 加重スコアリング:優先順位付けの精度を高める


価値を定義するのが難しい場合には、加重スコアリング(Weighted Scoring)が役立ちます。


最初に、現時点で製品にとって最も重要な要素を特定します。たとえば、収益の増加、顧客体験の向上、パフォーマンスの向上、セキュリティの強化などです。これらの重要性に応じて1~5の重みを設定します。例として、セキュリティが最優先で5、顧客体験が3、パフォーマンスが2だとしましょう。


次に、各ストーリーやアイデアをこれらの基準に従って評価します。一貫したスケール(1~5を推奨)を使用してスコアを割り当てます。たとえば、ストーリー1がセキュリティで3(重みをかけて15)、顧客体験で2(6)、パフォーマンスで2(4)を獲得した場合、合計は25点となります。


これをストーリー2(セキュリティ1=5、顧客体験3=9、パフォーマンス3=6、合計20点)と比較すると、ストーリー1がより優先されるべきであることが明確になります。この手法は、重要な基準を明確にし、それに基づいてタスクを評価するための強力なフレームワークです。



  1. Kanoモデル:顧客志向の優先順位付け


顧客からの直接的なフィードバックを得られる場合、Kanoモデルが有効です。これは、プロダクトの機能を以下の5つのカテゴリに分類します:


  1. 必須機能(Must-haves):これがなければ製品は受け入れられません。例:カフェでのコーヒー。

  2. 一元的魅力(One-dimensional):多ければ多いほど顧客満足度が向上します。例:カフェでのペストリーの種類。

  3. 魅力的機能(Attractive):期待されていないが顧客を喜ばせる要素。例:ライブ音楽のサプライズ。

  4. 無関心な機能(Indifferent):顧客の意見にほとんど影響しない要素。

  5. 逆効果の機能(Reverse):過剰だと顧客を遠ざける要素。


各機能について、「この機能があればどう感じますか?(機能的)」と「この機能がなければどう感じますか?(非機能的)」という2つの質問を顧客に投げかけ、以下の基準で分類します:


  • 必須機能: 「期待する」+「嫌い」

  • 一元的魅力: 「好き」+「嫌い」

  • 魅力的機能: 「好き」+「無関心」

  • 無関心な機能: 「無関心」+「無関心」

  • 逆効果の機能: 「嫌い」+「期待する」


たとえば、ホテルの部屋にあるベッドについて質問するとしましょう。「この機能があればどう感じますか?」(機能的)という質問には「期待する」と回答され、「この機能がなければどう感じますか?」(非機能的)には「嫌い」と回答される場合、これは必須機能に分類されます。


一方、無料のシャンパン提供について質問した場合、機能的には「好き」、非機能的には「無関心」と回答されるかもしれません。この場合、これは魅力的機能と見なされます。


分類が完了したら、以下の優先順位で進めます:


  1. 必須機能をすべて確保。

  2. 一元的魅力の最大化。

  3. 魅力的機能を適度に追加。


ただし注意すべき点は、昨日の「魅力的機能」が今日の「必須機能」になる可能性があるということです。顧客の期待が進化するため、常に市場の変化に敏感であることが求められます。



これらの手法をどれを選ぶにしても、最も重要なのは顧客価値の提供を中心に据えることです。優先順位付けは一度きりの作業ではなく、製品の成長や進化に伴って繰り返し行われる継続的な努力です。


優先順位付けの技術は、実践を重ねることで徐々に洗練され、直感的に行えるようになります。ただし、時間が経っても客観性を失わないことが重要です。これにより、意思決定が明確で価値に基づいたものとなります。


最後に、すべてを最初から優先順位付けしようとする罠に陥らないよう注意してください。最優先事項に焦点を当て、それらを最初に解決することに集中しましょう。作業を進めるうちに、新たなチャンスやより魅力的な機会が必ず浮上してきます。その際、これまでの経験を活かし、顧客や製品にとっての真の価値を基準に再評価を行う準備を整えておきましょう。


顧客価値を中心に据えた優先順位付けの旅が、皆さんにとって実り多いものになることを願っています。Happy prioritizing!

Comments


bottom of page